
ITの力で、電力インフラを変革。システム部が担う、DX最前線。
電力インフラを支える中部電力パワーグリッドでは、DX推進や業務改善が急務となっています。その最前線に立つのが、システム部門の4名のキャリア社員たち。異なる経験を経て入社した4人は、それぞれのプロジェクトにどう向き合い、どのように取り組んでいるのか。現場で交わされたリアルな会話をお届けします。
丸井 遼史
SIerで証券会社向けのシステム開発、精密機器メーカーでグローバル連結経理システム刷新プロジェクトを推進。現在は、配電関連のモービルマッピングシステム導入プロジェクトを担当している。
若杉 健太
通信インフラ企業でSEを務めた後、メーカーのシステム子会社にてITのインフラ構築を経験。現在はセキュリティや法規制によって生じる課題について、技術面からサポートしている。
中村 果菜
銀行で窓口・融資業務を経験した後、自動車部品メーカーでシステム開発に携わる。現在は、配電業務のシステム再開発プロジェクトとDX推進活動を担っている。
皆川 健一郎
メーカーのシステム子会社でSEとして経験を積み、製造業の情報システム部門に転じてシステム導入を推進。現在は、送変電業務のシステム企画や開発運用に従事している。
デジタルツイン活用からセキュリティ強化まで。多彩な技術で社会を支えるシステム部のプロジェクト。
――― まずは、みなさんが担当されているプロジェクトと、役割について教えてください。
私は、「モービルマッピングシステム(MMS)」の導入を担当しています。これは、3次元レーザー測量技術で取得したデータを解析して、配電設備に接近する危険樹木を判定する仕組みです。以前は担当者が現地で目視確認を行っていたのですが、どうしても時間とコストがかかっていました。そうした業務を技術で補完し、効率化につなげていくことを目指しています。
その現場視点、とても共感します。私も業務効率化をテーマにしたプロジェクトを担当していまして、「架空送電線の設計支援システムの企画」に取り組んでいます。これまでベテランの知見に頼っていた設計業務を標準化・システム化し、属人化の解消を図ることが目的です。現在は企画段階で、現場の声を丁寧に拾い上げながら実現に向けた構想を練っているところです。
お二人とも、現場との連携を起点にされているのが印象的ですね。私の担当は少し異なり、基幹システムのセキュリティ対策やリスクマネジメントに携わっています。サイバー攻撃の手法が日々進化するなかで、電力という重要インフラを守る立場として、その重要性を常に意識しています。
セキュリティや設計など、改めてシステム部の守備範囲の広さを感じますね。私が担当しているのは、DX活動の一環として進めている「現場出向支援システム」の企画です。PoC(※)段階から関わり、主管部の業務理解をはじめ、ベンダーとの調整や事業場への説明など、さまざまな立場と向き合いながら進めてきました。関係者との信頼構築が不可欠なプロジェクトでしたが、そのぶん、大きなやりがいを感じられた場面も多くありました。
※PoC…Proof of Conceptの略称。新しいアイデアや技術、サービスなどが実現可能かどうかを検証するプロセスのこと。

多様な関係者と向き合う日々が教えてくれる、システム部の仕事の醍醐味。
――― 先ほど中村さんから「やりがい」というワードが上がりましたが、システム部門ならではの仕事の面白さや、やりがいはありますか?
MMSを含めた最新技術やシステムに関われること、そして中部電力パワーグリッドがそれらをいち早く導入しようとしている姿勢は魅力ですね。入社前は「電力会社」という言葉から堅いイメージを持っていましたが、実際には前向きな姿勢やスピード感に驚きました。
「いち早く」という点でいえば、セキュリティの分野では日々変化するサイバー攻撃にどう対応するか、優先順位の判断が常に求められます。スピードも求められますし、継続的なインプットが欠かせません。難しさとやりがいが同居している仕事です。また、電気事業法のような法改正がある際には他電力の方々と意見交換をする場面もあり、視野の広がりを実感できます。
関係者と連携しながら仕事を進めるという点では、企画フェーズでも同じことが言えます。現場の熱量を肌で感じながら進められ、一体感があるんです。業務プロセスの最適化を図る中で、「こうしたい」という声が次々に上がってきて、それぞれの想いが詰まっている。その声を形にしていく過程こそが、仕事の醍醐味だと感じます。
私も、多様なバックグラウンドを持つ方々と関わる中で、視点の広がりを実感しています。技術の知見を共有できるだけでなく、システム開発や業務の専門性を異なる角度から捉え直すきっかけにもなっています。とくに大規模なプロジェクトに携わるなかで、そうした交わりが自分自身の成長にもつながっています。

トップダウンではなく、ボトムアップの風土。心理的安全性が高い環境。
――― 中部電力パワーグリッドの働く環境や風土の魅力について教えてください。
トップダウンではなく、ボトムアップの風土なので、一人ひとりが意志を持って仕事に取り組める点は大きな魅力です。
「自分はどのように動いたら良いか」ということを、みなさん主体的によく考えていますよね。「業務をさらに良くしていくにはどうしたらいいか?」という議論が活発に交わされているのも良い点だと思います。
コミュニケーションを取りながら、関係者全員で仕事を進める一体感を感じます。あと、自分の意見を伝えたときに「意見をくれてありがとう」と受け入れてくれる風土もありがたくて。心理的安全性の高い職場環境だと実感しています。
心理的安全性という点、すごく共感します。私は子育てをしながら仕事に取り組んでいるのですが、一時離脱制度を活用して子どもを迎えに行ったり、発熱など急な対応が必要なときはテレワークを使ったりしています。こうした制度がしっかり活用できるのは、周囲のサポートがあるからこそだと感じています。

私も、メンバーには本当に支えられています。介護が必要な家族がいるのですが、急なお休みが必要になったときでも上司がバックアップしてくれたり、フレックス制度を利用できたりと、柔軟に対応できています。
実は私も育児休暇を1ヶ月取得したのですが、その前に「後は任せて、ゆっくり休んでね!」と、快く送り出してもらえたのが印象的でした。有給休暇も取りやすく、家族との時間をしっかり持てる環境だと感じます。
こういった制度が形だけで存在しているのではなく、「文化」として根付いているのは大きいですよね。当たり前にみんなが制度を活用できる状況があります。「何かあれば、それはお互い様だよね」と、メンバーそれぞれを認め合う風土があると思います。

人間力×技術力で、電力インフラの未来を、仲間と共に描く。
――― プロジェクトを通しての学びや、今後の展望について教えてください。
ボトムアップの風土だからこそ、「自分はプロジェクトに対し、どのような未来像を描いているのか」といった意見を積極的に発信し、周囲の仲間からフィードバックをもらうのが大切だと実感しました。まずは目の前のプロジェクトを完遂して、今後はより大きなプロジェクトを任せてもらえるように邁進したいですね。
プロジェクトを進めるうえで、経営計画も含めて考える機会が増え、視座が上がったと感じています。今後も自身のバリューを発揮しながら、さまざまなプロジェクトを通して成長していきたいです。当社最大のミッションは、「電力の安定供給」。システム開発の力で自動運転などの効率化を進めながら、セキュリティ面でも、電気をより安心して使っていただける環境の実現を目指します。
「傾聴する姿勢」が業務を円滑に進めるうえで非常に重要だと感じました。プロジェクトを取りまとめる立場として、メンバーの意見に耳を傾け、信頼関係を築いてきた経験が、大きな前進につながったと思っています。今後はマネジメントにも挑戦し、さらに広い視野で業務改善に取り組んでいきたいです。
業務改善システムを作り上げるなかで、関係者に必要な知識を共有しながら、プロジェクトを成功へ導く視点の重要性を学びました。今後は、“システムのことは彼女に聞けば大丈夫”と思ってもらえるような存在を目指し、より信頼される立場を築いていきたいと考えています。
